そんな時、一軒の物件資料が妙に気になりました。10坪、共益費込95,000円、路地裏。

路地裏は気になるが、月々の家賃、初期費用は条件に合う！早速、現地に急行！！
するとそこは、石畳の路地！しかも行列が！何かと思ったら、「らくしゅみ」と書かれた看板が！

「あの有名なカレー屋、ここやったんか～。で、物件はどこやろ…。」
「って、これかぁ！！」

それは、「らくしゅみ」の横のテナントでした。
しかも、女性ものの下着屋さんが営業をしている！！

店の前を行ったり来たりして、勇気をだして、中にいらっしゃる方に声をかけさせていただきました。
今思えば、女性ものの下着屋さんの前でウロウロして、不審者と間違えられてもおかしくはなかったと思います。

お店の中にいらっしゃったのが、大家さんでした。
一通り店内を拝見し、(下着は見ていませんよ！自分たちのイメージ通りに改装できるかどうかを見てたんです！ほんとに。)

大家さんとお話しさせていただきました。

次の日も営業中におじゃまさせていただき、当初下着屋さんとして使われているスペースまでの募集でしたが、奥の物置部分も賃料アップすることで貸していただけることになりました。
また、リノベーションも事前にプランを提出することで工事させていただける方向でお話をさせていただいておりました。

事務所で、このロケーションを生かしたブランディング、それに伴うリノベーション案を再考し、物件をお借りする初期費用、月々のランニング費用、リノベーション工事費用の概算をし、その日の夜、「やっぱり、ここだ！！！」と決意し、窓口の管理会社さんに賃貸申込書をFAXしました。
夜も遅かったので、次の日の朝一で多々納に電話してもらいました。

前嶋　　　　「昨日、21時すぎに申込書FAXさせてもらったんですが、届いてますか？」

管理会社　　「あ～、届いてます…。ただ…」

前嶋　　　　「マエシマです。」

管理会社　　「あっ、お名前をお聞きしようと思ったんじゃないんです、前嶋さん。ただ、コモンズさんの5分前に1件申込書が届いてまして…。」

前嶋　　　　「えええーっ！！」

これだと思った物件がなくなってしまう…。
それはすごく惚れた異性が別の方とお付き合いされるような、とてつもない喪失感。

「…このまま諦めきれない！！！」

その後、僕たちは管理会社さん、大家さんにどうしてもここで営業したいんだと熱く訴えました。
たまたま、5分前にお申込みされた方が、barをされたいとのことで、上にお住まいされる大家さんとしては、事務所として使ってもらった方が良いということで、僕たちと契約していただけることになりました。

そして、コンセプトのまとめ、自分たちの強みの強化、ライバル業者さんの特定・分析、自分たちの理想のお客様の確認、将来のビジョン・目標設定など、幾度となく繰り返し行いました。
日程的にタイトだったので、同時に内装について設計士さんと「あーでもない、こーでもない」と言いながら、打ち合わせを重ねていたのですが、会議で閃いたことをカタチにしたくて、設計士さんに「この前の打ち合わせで決まったこのカウンターのところなんですけど、やっぱり向き変えたりしてみたいかな～なんて…。」と言うと、嫌な顔ひとつせずに、対応していただきました。
（たぶん、おなかの中ではイライラしていただろうな～。…ほんとすみませんでした！）

店の内装が決まり工事金額がおおよそ出ましたので、税理士さんに相談して、国金から希望通りの金額の融資を受けました。
たくさんの書類の作成も、細かいアドバイスをいただきスムーズに手続きできました。

そして、サインやロゴの作成も行いました。
デザイナーにイメージを出しつつ、事業に対する想いをお伝えし、見事にカタチにしてもらいました。

外が少し肌寒くなる頃、いよいよ工事にとりかかることになり、ご近所のみなさんに僕が大好きなカステラを持ってごあいさつに回らせていただきました。
工事中は大きな音も出るので、ご迷惑をおかけしたと思いますが、みなさん本当によくしてくださり、今でも仲良くしていただいております。

工事費用も抑えたかったので、僕たちは休日に既存のクロス剥がしや、看板、建具、本棚、天井、壁の塗装など、自分たちでできることはやりました。
どんどん出来上がっていくお店を見て、ワクワクが抑えきれませんでした！
同時進行で名刺や封筒の作成をしてもらい、お店の中に置く家具・備品の選定、調達をしました。

たくさんの方々のご協力によって、平成24年12月3日、「コモンズ不動産」はスタートしました！！
ここではすでに、たくさんの方々との出会いがあり、その輪が今後も大きくなってくれることを願って止みません！

これから、開業をされる方の参考になればと思い、コモンズ不動産の開業資金内訳を大公開します！

※2011年当時の価格です。